怖い…。

今すぐにでも逃げ出したい…。

蓮ちゃん…。

ただ1人の彼の名前を、呪文のように頭の中で言った。

蓮ちゃん、助けて…。

「…何でしょうか、中條先生」

そう聞いている声が震えていて情けない。

授業が終わったから、来週までの1週間は彼の顔を見なくていいと思ったのに。

なのに、彼に呼び出された意味がわからない。

「おいおい、2人の時は“章彦さん”だっただろ?」

「えっ…」

慌てて周りを見回せば、広い教室にいるのはわたしと中條の2人だけだった。