わたし以外の女の子に声をかけてないよね?

でも…蓮ちゃんは無意識の天然だから、無理かな?

平気な顔して甘い言葉を言っちゃうんだもん。

そう思っていたら、チャイムが鳴った。

同時に、先生が入ってきた。

「はい、授業を始めます」

――ウソ…!

その人の顔を見た瞬間、わたしは固まった。

何かの間違いであって欲しいと、心の底から思った。

だって、そんな偶然があるの?

教壇に立ってしゃべっているその人は、中條章彦だった。

図書室でわたしにキスをしてきた、その人だった。