「じゃ」

そう言って、蓮ちゃんは再びバイクを走らせたのだった。

その後ろ姿が見えなくなるまで、わたしは彼を見送っていた。

「さて」

まずはこの学校の事務室に行かなくっちゃ。

交通事故で1週間と休んでいたから、欠席届を出さなくてはいけない。

事務室の居場所はわかっていた。

去年の秋にこの学校の文化祭にきたことがあるから、だいたいこの学校のことはわかっている。

どこに事務室があるかとか図書室があるかとか医務室があるかとか…もしかしたら、この学校の生徒たちよりも知っているんじゃないかしら?

そんなことを言ったら、黎ちゃんに叱られるか。

「はい、終わりましたよ」

「ありがとうございます」

手続きを終えると、わたしは事務室を後にした。