「橋爪は、家を出た私に自分の病院の事務員の仕事を勧めてくれました。

結婚前、医療事務の仕事をしていたんです。

橋爪はそれを知って、私にその仕事を勧めてきました。

仕事をくれただけじゃなく、私と娘のことを匿ってくれました。

それで、橋爪から佐々木さんのことを聞いたんです。

――夫と一緒に病院を訪ねてきた、と」

話し終えた後、前田さんは僕に視線を向けた。

「一緒に頑張りましょう」

そう言った彼女に、僕は首を縦に振ってうなずいた。

水萌を助けるために。

ピーンポーン

前田さんがチャイムを押した。