それから3日後、水萌は無事に退院した。

水萌の器はまだ眠っている。

当然、姉も彼女の中で眠っている。

「黎ちゃん、いつ意識が戻るのかな?」

僕と一緒に駐輪場へ向かいながら、水萌が小さな声で呟いた。

「さあな、こっちとしては早く戻ってきて欲しい。

明日とか明後日とか」

バイクの前に到着すると、僕は水萌にヘルメットを渡した。

「わあ」

珍しそうに声をあげた水萌に、
「何だよ、それは水萌専用だろ?」

僕は言った。