気が済むまで水萌が泣いた後、僕は先生を呼びに行った。

もちろん、姉の意識が戻ったと伝えた。

簡単な検査を受けた後で、先生が病室から出て行った。

「早ければ、3日後に退院だって」

2人しかいなくなった静かな病室で、水萌が言った。

「ああ、そうだな。

腕に擦り傷を作っただけの小さなケガで済んで、少し気を失ってただけだったからな」

そっと水萌の器に視線を向けると、まだ眠っている。

「水萌」

「んっ?」

「…姉さんを助けてくれて、ありがとな」

そう言った僕に、
「だって、黎ちゃんはわたしのお姉ちゃんでもあるんだもん」

水萌はフフッと笑ったのだった。