「僕は、黎がいればいいんだよ。

君のためなら、何でも捨ててもいいと思ってる。

仕事も、家族も、何もかも、君が望むなら国を捨てても構わない。

黎さえいれば、僕は幸せなんだから」

中條が言った。

狂っていると、わたしは思った。

黎ちゃんは、こんな人とつきあってたの?

最低で、狂ってて…平気で恐ろしいことを言うこの人とつきあっていたの?

「黎、今すぐに別れることを取り消してくれ。

許してあげるから。

黎の好きなものをあげるから。

黎が望んでいることをしてあげるから」

目の前で中條が言っている。