水萌!?

僕は水萌に視線を向けた。

“蓮ちゃん”と、確かに呼んだ。

彼女が僕の名前を言う時に使う呼び方だ。

呼び捨てが恥ずかしいと言っていた彼女がいつも呼んでいた。

「――蓮ちゃん…蓮、ちゃん…」

水萌の顔を見るけれど、唇が動いていなかった。

今のは、空耳か?

それとも、僕の幻聴?

そう思った時、
「――蓮ちゃん…わたしは、ここよ?」

聞こえた声に視線を向けた瞬間、僕は驚いた。

「――わたしよ、水萌よ」