ある日聞いた。

「君は名前何て言うの?」

「名前?私に名前などない。」

「じゃあ、僕がつけていいかな?」

君は凄く驚いて目を丸くしていた。

あの顔、思い出しても笑えてくる。

「勝手にすれば……。」

もぞもぞと言いながら視線を外す。

恥ずかしいんだ。

そう思いながらも名前を考えた。

「麗華(レイカ)。」

「れいか?」

「うん。素敵な名前だろ?」

「自分で言うな!!」

「ごめん、ごめん。」

ははっ。と面白おかしく笑いながら僕は

ちゃんと考えたんだけどな。

と麗華の方を見る。

結構気に入ってるらしい……

さっきから自分では気づいてないのか、気づいてるのか。

名前を何度も呼んでは嬉しそうに笑う。

その笑顔はとても綺麗で。

まるで、はかなく散る華のようで。

心を奪われるような感覚に陥った。