妖怪の住む町

久しぶりに会ったにも関わらず口が悪いのは健在らしい。

10年経っても変わらずにいるのを見たら高校生に戻った気がした。

「なんだ?私の顔に何かついてるのか?」

「いや、変わってないなって思って。」

娘の小さい手を握り話しを続ける。

「変わっていないのは悠一もだろ。
いつになっても、来ないから心配してた。
死んだのかと思ってたぞ。」

「ごめん。会いに行く暇がなくて。
仕事が忙しいんだよ。」

「そんな事はどうでもいい。
会いに来てくれただけで嬉しいよ。
こっちは遊ぶ相手もいなくて暇だった。」

「それ本当?」

「本当だ。嘘ではない。」

その言葉に涙が出そうだった。

10年間も待っててくれて。