「邪魔なんかじゃないよ。
友達も喜ぶかも。」

「そう?
じゃあ行くわね。また、後で。」

先に行く彼女の姿を見送った後上を向いた。

「いるのわかってるぞー。
早く出て来いよ。
いたずらなんかしなくてさ。」

木の上からヒョコッと姿を現す妖怪。

風の匂いと共に微かに花の匂いがする。

「なんだ、ばれたか。
ったく久しぶりに会っておどかしてやろうと思ってたのに。」

作戦が失敗したな。

ふう。とため息をしながら寄ってきた。

「おとうさん、この人だれ?」

「このちっこいの悠一の子供か?」

まじまじと娘を見つめては頭を撫でたり可愛がっている。

「僕に似て可愛いだろー?」

「悠一になど似たら、面倒くさいやつになる。
お前は悠一に似るなよ。」

「軽く酷い。」