あれから季節は何度も巡り10年と言う月日が経った。

僕にも恋人と言う存在ができ、結婚し子供も授かった。

そして今、約束を果たしに故郷へ帰って来た。

「うわあ。綺麗な町ね。
こんな所に住んでたんだ。」

「10年前と全然変わってないな。」

三人で歩くこの景色は
何一つ変わってなかった。

町も。色も。空気も。

「あ、ちょっと用事があったんだ。
先に行ってもらっていい?」

「いいけど……。友達にでも会うの?」

「うん。友達。
大切な人なんだ……。
約束を果たしに行かないと怒られるかも。」

と笑い混じりに告げて、二人を置いて行こうとした時

「おとうさん、私もついていっていい?」

4歳になったばかりの娘が服の袖を引っ張って尋ねてきた。

少し迷ったが……

「いいぞ。」

「本当にいいの?邪魔じゃない?」