<旨ソウナニオイガスルナ。
チカラノ強イ人間ガ二匹…シカモ一匹ハ弱ッテイルデハナイカ。
コレヲ食ワズニハイラレマイ!!>






「!!」






現れたのは血に濡れた月を覆い隠すように障気を纏った大きな異形だった。






兄を食わせはしない…、しかし目の前の異形は私の持てる全てをもってしても適う相手でない事は目に見えていた。






だが、分かっていても、肉親を見捨てる事など出来ようか、いや出来るはずが無い。





「ノウマクサンマンダバサラカン…」





この悲しみをどこにぶつけよう






「急急如律令─ッ!!」




この苦しみをどこにぶつけよう──