日が大きく傾き、西の空が真っ赤に染まった頃には主様は今朝に比べ大分体調が戻ってきたようだった。 だがまだ本調子には程遠く、霊力も普段より低下していた。 見張りに出ている間に、違和感のあった平行感覚には慣れてしまった。 もう殆ど通常と変わらぬように駆けられる。 …恐らくこのまま、私の左耳は回復しないだろう。もとより己の身体など、主様の命をこなせるのに支障が生じなければどうなったっていい。 多少の五感の不自由など、さほど障害にはならぬ。 方耳が潰れようとも、私には爪さえあればよいのだ。