仕事だって、わかってた。



「海ちゃん、冷たくない!?」



「はる兄がこんな最低な人だと思わなかった!!」



なのに。

蘭が怒ってくれて嬉しかった。

悠さんを信じるのが怖かった。



「蘭…お店の迷惑だし帰ろう?」



「でも、海…」



「帰らないなら、翔さんにタクシー呼んで貰って帰る」



私は鞄を持ち、立ち上がった。

…早く出たい。

早く帰りたい。

こんな醜い顔、見られたくなかった。



「海!悔しくないのっ!?」



「悔しいって言うより、悲しい。
彼女って……飾りの言葉でしょ」



「海…」



蘭に強がって微笑み、お店を出た。