「行き付けのバーで許せよ」



「あ、はい…」



なのに。

なのにー!!

激変された。

甘いマスクなんて、どこかに消え去った。

仏頂面で、高級車の運転席に乗り込んだ。

…二重人格…(泣)

落ち込みながら、助手席か後部座席かで迷う私に、助手席の窓を開け、「早く」と、助手席を指差した。



「お邪魔します…」



乗り込むと、無音。

冷房も弱風で、私の緊張してバクバクする鼓動の音が、悠さんに聴こえそうだ。



「高3の夏休みは、受験勉強じゃないのか」



「大学に行けるかわからないので、私はお見合いして結婚するかも知れません」



まだ蘭にも話してないのに、何を言ってるんだろう。