「お袋さんが作ったやつ。俺が渡す事になったけどな」



渡された瓶は何故か裏向き。

“海と大好きな人が、幸せになりますように”

ラベルに手書きで書かれたメッセージ。



「仲良くな」



「うん……」



私は瓶を抱き締めながら、頭を下げた。

母屋の庭に立つ父親の背中が見えた。



「また、帰って来るからっ!!
お父さんやみんなに。お母さんに会いに、帰って来るからねぇッ!!」



父親が振り返って笑った。

頬に光る涙を見ないフリして、私は背を向けた。

家族の愛情を、背中いっぱいに感じながら。