私は賢介君と目を合わせた。



「何だ?」



「私、賢介君とは結婚したくない!」



「…俺に言うなよ。ま、俺も幼なじみじゃなくなるのは嫌だな」



「けど。うちの親父は、ここの筆頭株主でいたいらしいけど」



「さ、行かないと」



「おいっ!!」



紳介君をシカトして、私は酒蔵に行く為に立ち上がった。

母親が倒れたのとはまた別の酒蔵で、今は空の樽しかない場所で、家だと狭いから、そこでやるみたいだ。



「海」



「お父さん。私、賢介君と結婚しないから」



「海ちゃん、おいで!」



むくれる私をお祖母ちゃんが呼んだ。