山の上を泳ぐ雲を見上げると、悠さんが口を開いた。



「昨日の事は悪かった。上手く片付けておけば良かった」



悠さんは悪くないのに。



「悠さんは、助けてくれただけ。何も謝る事はないんですよ。
助けて貰えて、嬉しかった。2度も助けられて…何だか私のヒーローみたいですね」



「“ヒーロー”か…」



「はい!」



「俺はそんなかっこよくねぇよ。
海が危険な目に遇ってるって知ったら、内心、落ち着かないしな」



…はて…。

どういう意味だろうか。

何で“落ち着かない”んだろう。