「大丈夫か?海っぺ」



「…何してるの、小虎ーコトラーさん」



小虎さんは父親の一番弟子の32歳。

お兄ちゃん、時にはお父さん的な存在の人。

近いうちに養子縁組して、うちの酒蔵は任せるって話も出てる、凄い人。



「海が帰ってから電話しても通じないから、慌てて来た」



小虎さんは悠さんたちに頭を下げ、深呼吸をしてから私を見た。



「お袋さんが、死んだ…」



「…………え…?」



…嘘…。

私は鞄を拾い、携帯を出した。

父親たちからの着信。

<今どこだ!お袋さんが亡くなった。迎えに来たから連絡しろ!>

小虎さんからのメールを見て、私は携帯を地面に落とした。