「どうする?これで手は出せないだろ(笑)」



「卑怯だろ、そんなの!!」



守さんが、ちょっとずつ近付こうとする。

けど、その度に私まで引っ張られる。



「悠さん…っ…」



…怖い。

怖いよ…。



「そいつらを離せ!!」



「ダメ…っ…」



みんな殴られちゃう。

私を助けてくれてるのに、殴られたりでもしたら、どう謝れば良いの?



「汚ない手段で、俺の妹を泣かせないでくれるか兄ちゃん!!」



「え…?」



聞き慣れた声。

男の腕を掴む、逞しく太い腕。



「だだ誰だよ!;;
いたたたー…;;」



「兄ちゃんが掴まえてる子の兄貴みたいなもんだよ!」



ーーチャリーンッ

ナイフが蹴り落とされ、折れた手首を擦りながら、男は逃げる。