「や…っ……!」



嫌がる度に開く口の中に、男の舌が蠢く。

…気持ち悪い…。



「どうやら…悠さんの本気を見せたいようだな」



「私の親友に、汚ない事しないでよね!」



ーードカッ



「――グッ!!;;」



裏から周り込んで来たらしい、蘭が男を蹴り飛ばした。

隣に居る守さんが、「ダサッ!」と笑う。

私は斜め前にある小さな水道を見付け、ハイハイで口を洗いに行く。

鈍い音を聴きながら、水を吐くと、蘭が「海、逃げて――ッ!!」と叫んだ。



「――っ!!」



気付いた時には手遅れ。

後ろから、刃幅10センチほどのナイフを持った男に押さえられた。