箪笥の小さな引き出しから、2人の判子を出し、朱肉を準備。

それぞれの欄に、自分たちで判子を押すと、悠が小さく笑いながら、私の頭を引き寄せた。



「やっとだな」



「そうだね…」



「まだ、受理されてないけどね」



…今のは一言、余分でしょ;;

蘭は“あっ…”と、ハッとした顔をしたけど、何事もなかったように、婚姻届を封筒にしまって、「市役所、市役所!」と、出て行ってしまった。



「逃げたな」



翔さんはそう言って立ち上がり、私たちにお茶を淹れてくれた。


毎日、湯飲み一杯位のカフェインなら、赤ちゃんへの影響はあまりないらしい。

限度を越えたら、さすがに危ないらしいけど。