「…ハハッ…」



空笑いをして、肩が震えた瞬間、振動で涙が溢れた。

この俺が、恋沙汰で泣く日が来るとは思わなかった。



「…俺は…ダメな男だな…」



親父の言う通り。

28にもなって。

18の海に甘えて。



「…ごめんな…っ…」



届く筈のない海への謝罪。

こんな俺を、あいつはもう想ってくれてないかも知れない。

指輪を返して貰うどころか、送り付けられるかも知れないな。



「…仕事、休むわ…」



親父たちの顔を見る事なくリビングを出た。

車の所へと行き、後部座席に紙袋が乗ってる事を確認し、海の地元へ行く決心を固めた。