「帰ります」と立ち上がった小虎さんを、翔が見送りに行く。

ーーバキッ

慌てて追い掛けようとした俺に、親父の拳が飛んで来た。



「貴方っ!?;;」



母親のビックリする声。

気付いた時には、胸倉を掴まれていた。



「悠…お前は俺らに“海としかこの先、結婚する気はない!!”と、宣言したんだろ――ッ!!
なのに何で、愛する人を守れないんだよッ!!28にもなってお前は、人のせいにして、大切な人を何度も傷付けるのか――ッ!!」



「何してんだよっ!!」



「お止め下さい、旦那様っ!!」



再び殴り掛かって来そうな親父を、翔と親父の秘書が止める。

俺は片手で顔を隠しながら、ソファーの背凭れに腰掛けた。