<兄貴が酔っ払ってるから、迎えに来てくれない?>

…悠が?

お酒、強いのに何で?

私は<わかりました>と返事して、蘭に声を掛けてから家を出た。

マンションからはお店はわりと近く、コートのポケットに手を入れ、顔をマフラーに巣ぼめながら歩く。

人通りが多くて、明るい道を選んで。

歩いて行ったとバレたら、悠が怒るだろうな…。

ブーツを履いてても、爪先から冷えて行く。



「あー、海ちゃん来てくれた、来てくれた!」



お店に着くと、翔さんがすっ飛んで来た。

私の腕を引っ張り、悠が居るテーブルに向かうと、女性と2人でくっつきながら呑んでた。