でも、悠やみんなの寝息を聞く度に、涙が込み上げた。

両親が…居なくなってしまった。

父親の顔が、もう写真でしか見れない。

しかし、写真の中に居る父親は、笑顔でしかないんだ。

怒った顔。

悲しい顔。

見れなくなってしまった。

悠の腕から抜け出し、みんなを起こさぬように、酒蔵へ向かった。

棺の前に立ち、顔が見れる小さな観音開きの窓を開けた。



「お父さん…っ…」



何度、覚悟しても。

何度、涙を流しても。

拭いきれない気持ちがある。



「…う…ぁ゛ーん…ッ……」



言葉にならない気持ちは、どこまでもどこまでも、私を追い込む。