「感じ悪いな」



いじける悠さんが可愛くて、もう限界。

私は「キュンキュンしますね!」と、笑い声と共に、気持ちを吐き出した。



「“キュンキュン”て何だ」



「悠さんが可愛いから?(笑)」



「答えになってねぇよ」



壁に背を預け、シャンパンを呑んでる悠さんの表情が、少し緩んだ気がした。

お店で見た甘いマスクとは違う。

これが本当の、“澤井悠”の笑った顔。

笑顔にはまだなってないけど。



「つねくったらどうします?」



「話が飛躍してんぞ」



ふざけた話題に、まともな突っ込み。

私のツボにハマる。