父親が退院してから2日。

夕方、私は悠と駅に向かって歩いた。

気持ちを知り合った小川に沿って、手を取り合いながら。

しばらく会えない。

けど、別れるわけではない。

悠がくれた婚約指輪もある。

寂しいけど、泣かない。



「荷物、よろしくね」



「わかってる」



部屋は解約。

悠のマンションで、預かって貰う事にした。

私は、最期まで帰るつもりがないから。



「ごめんね…」



ホームに立った瞬間、私の口からは謝罪の言葉が出た。

悠を優先する事が出来なかった。

迷惑を掛ける事しか。