私は立ち上がり、兵藤先生と話してる土岐田先生に会いに行った。

悠や、お祖父ちゃんたちにも伝えた事を、話に行く為に。



「お父さんが治療を止めた場合、予後は3ヵ月。もって、4ヵ月だと思って下さい」



「止めるんですか?」



「はい。父親には好きな場所で。楽しく満足に過ごしてから、母親に会いに行って欲しいんです…」



我が儘でも良い。

父親が笑って過ごせるなら。

行きたがってた海に行こう。

大好きなお肉を、たくさん食べさせてあげよう。

―――私は、父親に内緒で退学した。

“留年してでも、ちゃんと卒業する”と、嘘まで吐いて。

これが、最初で最後の嘘だった。