シーンとした雰囲気。

悠の部屋に移り、黒の革張りのソファーの上で膝を抱えると、悠に抱き締められた。

不安だけの心が、少し軽くなる。

…お父さんが居なくなったら?

お祖父ちゃん、お祖母ちゃんだけになったら、私はどうしたら良いの?

声にならない不安。

ぶつけようのない不安。

私はギュッと抱き締めて貰ってるのに。

悠に感謝してるのに。

1人、暗闇に取り残された気分になる。



「悠…悠っ…」



「大丈夫」



だから私は、悠の名前を呼び続けた。

お風呂に入ってた守さんと、兵藤先生に連絡が取れたらしい翔さんが部屋に来ても、私が俯いてるだけ。