22時を回り、誕生日パーティーは終了。

私は玄関へ向かうゆっちんを呼び止めた。



「ゆっちん…何か言いたい事あった?」



気になってたんだ。

ゆっちんが言いたがってた事。

ゆっちんはみんながこっちを見てない事を確認して、私に近付いて、耳元で囁いた。



「おじさん、“誕生日おめでとう”って連絡くれたのか?」



「ないけど…」



「粕谷が言うには、体調が良くないらしいけど。ちっとは連絡しろよ。な?」



「うん…」



ゆっちんは、何事もなかったように朋菜さんたちを追い掛け、一緒にお手伝いさんが呼んでくれたタクシーに乗り込んだ。