「代々ご長男の奥様に受け継がれて来た、ご結納の品にございます」



パコ…ッと開けると、サファイアが輝く、年代物の指輪。

大きくて、私にはもう何カラットかわからない位だ。



「こちら、お2人からの手紙でございます。では、私はこれで」



「ありがとうございました…」



立ち上がり、執事さんに頭を下げた。

椅子に座り直し、指輪をテーブルに置いて、私は手紙を開いた。

“海さんへ
この度は、私たちの所為で、たくさんご迷惑をお掛けしました。嫌な思いをされたことでしょう。
でも、貴方が悠のもとへ帰って来て下さって、私たちも嬉しかった。感謝感謝ばかりです。
ありがとう、海さん。
機会があったら、今度お食事をご一緒して下さいね。
楽しみにしています。 澤井繭”