「海…?」



到着したのは、車で3〜40分で行ける海だった。

階段を下り、サンダルを脱いで砂浜を歩く。



「ここさ、蘭には言えないけど、元カノとの思い出の場所なんだ」



「…蘭と重なってた?」



「そうそう;;(笑)」



守さんは靴と靴下を脱ぎ、ジーンズを膝まで上げて、海に入った。

寂しそうな表情で。



「元カノ…純恋ースミレーとは学部は違ったけど、サークルで知り合って、お互いノリだった。
でも、2年の内に妊娠や流産。
クダラナイ喧嘩を繰り返して。
苦難を2人で乗り越えたせいか、次第に居心地が良くなった」



守さんが水面を蹴ると、水飛沫が綺麗に宙を待った。