すると、やたらゆっくりと、コツッ…コツッ…と、足音が聴こえて来た。

私は不思議に感じながらも、廊下に出た。



「…?」



目の前に現れたのは男性。

スーツを着ててもわかる。

筋肉がムキムキな人だ。



「ここ…女子トイレですよ…?」



「知ってる。用件は君にだ」



「え…?」



「澤井と結婚するな。さもなければ、君も澤井も絶対…不幸にしてやる」



「……」



男性は、それだけ言うと、踵を返した。

…誰?

どういう事?



「蘭!遅いよ!」



「あ…うん…」



頭が追い付かない。