【完】チーズ男とあたりめ女

行き付けらしく、聖さんがソムリエの人に、どんなメニューにも合い、されど年代物のワインを出すように頼んだ。



「ワインしかないのかな?」



小声で悠に訊ねた私に、ソムリエの人が先に口を開いた。



「当店はバーもしておりますので、カクテルも揃えています」



「じゃあ、ソルティードッグと、オレンジ系のノンアルコールのを一つずつお願いします」



「畏まりました」



「私、ノンアルコール?」



「蘭が最近、弱いんだもん」



拗ねる蘭を守さんに任せて、私は財布を鞄から出した。

けど、中を確認したような私に、悠は「海の分は俺が払うから」と言った。