“俺の大切な人”って言葉が、胸に引っ掛かる。



「送る」



「でも、お酒…」



「ボトルは見せ掛け。飲んだのは烏龍茶だ」



「それを聞いて…安心しました」



素直に聞いてしまおうか。

ふと迷う。

けど、言葉のアヤだったらショックだ。

…“ショック”!?

何でショックを受けなきゃいけないの?

悠さんは二重人格で、蘭のお兄さん。

迫ったら怒られそうだ。

訊かない。

黙っておこう。

うん。

…そうしよう!



「5分も突っ立ってんなよ!」



「…あああ、すいません!;;」



私は悠さんの嘘とは気付かずに、慌てて車に乗り、自宅まで送って貰った。