口の中が切れ、口端から血が垂れた。



「うっわ、可哀想(笑)」



「ほん――…」



「“可哀想”なのは、お前らだろ」



私を見下ろす3人を、下から睨んでると、悠さんが階段を降りて来た。

スラックスのポケットに手を突っ込み、ダルそうに歩いてる。



「俺の大切な人に手を出したらな、こうなんだよ」



ーーゴン…ッ

3人の後ろに回ったと思えば、1人の男の人に後ろ蹴りを喰らわした。

壁に額を打ち付けた姿を見て、お金を悠さんに渡した2人は、逃げて行った。



「だから“送る”って言っただろ」



「こうなるなんて、思ってなかったので」



悠さんが鞄にお金をしまってくれるのを見ながら、私は乾きかけた血を拭った。