「蘭のお兄さんと、結婚でもするの?」



眠気が飛んだ。



「親友でも、知らないのかしら。私ね、蘭のお兄様である悠様にお伝え申してるの」



そして、血の気も引いた思いだった。

どうして、悠に。

どうして、悠なんだろう。



「それで、お見合いをして頂けるように、お父様に頼んだの」



姫李の見えない所で、拳を握った。

“美”に関する仕事をしてる白鳥グループの令嬢で、資産は澤井財閥を越えると言われてて…たかが酒造の娘である私に、勝ち目が見えなかった。



「良い返事…貰えそう?」



何でもないフリをした。

そうじゃないと、自分が壊れそうな気がしたんだ。