「私がプレゼントするつもりだった香水も、海さんが先に渡して。
とんだ侮辱だわ」



私はグラスを手にして、悠さんの腕も気にせず、背凭れに凭れると、蘭がムクリと起きた。



「煩い…おばさん…」





メイクが崩れるにも関わらず目を擦り、ナズナさんを睨む。



「“おばさん”?口を慎んだらどうかしら?」



「貴方が慎んで下さい?澤井の令嬢である私に逆らったら、職を失わせる事も可能なんです。
それに、海は貴方の気持ちを考えて、はる兄に香水を渡そうとしなかった。
海は優しい子。おばさんみたいな図々しい人間じゃないの!
だからフラれるんですよっ!」



蘭の脅しと怒りに、ナズナさんは拳を握る。