私はふむふむと頷きながら、ボーイさんによって置かれたカシスオレンジが入ったグラスを持つ。



「一本、1500円ほどのカシスか」



嗅げば、お酒の値段はわかる。

私の言った値段が妥当だったのか、麗さんとボーイさんは顔を歪ませながら笑った。



「詳しいのね;;」



「酒蔵を守る父の影響です」



私はお酒が並ぶ棚を見た。

【さくら】なんてここにない。

わかってた事なのに、なかなか見られなくなったのが寂しく思う。

全盛期に比べると、出荷は40%まで落ちてる。

やっぱり、賢介君と、結婚するしかないのかも知れない。