綺麗にドレスアップされたお客さんが、吸い込まれるように、私たちの前を横切り、お店に入って行く。

ドアには“本日、招待状をお持ちのお客様のみ”の文字。



「どうしよ…招待状ないよ?」



私は蘭を見た。

蘭は「妹と彼女は大丈夫でしょ」と、ドアを開けた。

入り口に立つホストをシカトした蘭は、翔さんに駆け寄った。



「こんにちはっ」



私も頭を下げて、空いてる席に座らせて貰った。



「飲み物どうする?蘭はオレンジだろ?」



「うん。海はジントニックだよねー?」



「あ、お願いします」



私は携帯をマナーモードにしながら、翔さんに微笑んだ。