「いらっしゃい。珍しいわね。
悠が女性と来るなんて」



出迎えてくれたのは、まだ20代の人。

赤いドレスを着ていて、バーというより、キャバクラだ。

騙された気分になりながら、アーチ型のソファーに並んで座り、ドリンクを訊かれ、私は「カシスオレンジ」と言った。

私だって、お酒は呑める。

悠さんに「おい」と言われたけど、シカトした。



「おつまみはいかがなさいますか?」



「あたりめってありますか?」



「申し訳ございませんが、こちらにそういったモノは…」



…さっすが洒落た店。

ないんだ。