【短編】Birthday * kiss










チャイムが鳴るのと同時に滑り込んだ教室。


今のが電車だったら、確実にアウトだったよね(笑)






「おはよ~、ギリギリだったね」


「お、はよ・・・」






能天気な友梨は、笑顔で私に手をふってあいさつする。


それから、教室の中をぐるっと見渡す。



・・・・あれ?






「ねぇ・・・、康介くんは?」


「ああ、風邪ひいたらしくて休みだってさ」


「え、そ、そんなぁ・・・」






空っぽの康介くんの机をもう一度確認して、


深いため息をついた。


これ・・・、返さなきゃいけないのに・・。


服の入っている袋をぎゅっと握った。






「・・・まあ、昨日どしゃ降りの雨だったからね」


「雨・・・」







確かに昨日はたくさん雨降ってて・・・、


でも、康介くんちのお風呂借りて入って・・・。


確か私が上がったあとも、康介くん、服着替えないで濡れたままだったよね・・・?






「・・・・・あ」


「どした、美波?」






じ、じゃあ・・・


珍しく康介くんが頬をピンクに染めてたのも、


ちょっと息づかいが荒かったのも・・・


全部、それのせい? 私のせいだ。






「・・・・・」


「・・・おーい、美波?」





せっかくの年に一度きりの、康介くんの誕生日。


大切な、大切な記念日なのに・・・。