【短編】Birthday * kiss







すると、ふっと私の視界が暗くなった。


顔をあげると、目の前には康介くんの顔がある。






「ひゃっ・・・」






康介くんの髪から落ちてきた雫が、私の手に落ちた。


・・・冷たい。



康介くんは何も言わずに私の瞳を捕らえて逃がさない。






「ちょっ・・、」


「美波」






私の言葉より放された康介くんの低音ボイス。


かっこいい康介くんが、さらにかっこよくみえた。






「キス・・・したい」


「・・・や」






そういえば私、


まだ康介くんとキスしたことないかも。


一段とさっきよりも顔を近付ける。






「え、ちょっと・・・」






慌てる私に気付かないのか、徐々に距離を縮める。


恥ずかしいのか、康介くんの頬はほんのりピンク色。


息づかいも荒くなってきて・・・


なんだかキケンな匂いがしてきた。













「あ、あーっ!」







私の大きな声に、眉間にしわを寄せて耳をふさいだ。






「なんだよ・・・」


「雨っ!止んだみたいだから帰りまーすっ」






えへへっ、て可愛く笑ってみる。


・・・だめだ、全く可愛くない。





「ごめんね、傘いれてもらっただけじゃなくお風呂まで貸してもらって」


「えっ・・・、」






早口で言いながら荷物を持つ私に、唖然の康介くん。






「それでは、また明日!」


「おいっ、明日は・・・!」


「え、明日?」


「・・・・なんでもない」






しょんぼりと下を向いた康介くんに首を傾げながら、


雨上がりの外に出た。




いつ止んだのか、空は青空が広がっていた。