昔、広瀬に聞いたことがあった


「好きってなんなの」

と。


それを聞いた広瀬は
俺の顔を見て吹き出したっけ。


それはよく覚えてる、

腹が立ったからね


「なんだよ京介、熱でもあんの?」


「いいよ、聞かなきゃよかった」


「ごめんごめん、そっか、
京介も12歳だもんな」


「なにそれ。
せいじんしきってやつに出たらそんなに偉いのかよ」


「そんなこと一言も言ってないだろうが。
あー、俺ももうオヤジって言われんのかなー」


「今も思ってるんじゃない。
言わないだけで」


「まじかよ!?
うっわ…そのうちあれだろ、加齢臭とかしてくるんだろ、
考えたくねえ…!」


「あきら、質問には答えないわけ」

「ガキのくせに鋭いな、京介。

んー、俺もよくわっかんねえよ。

なんつーか、大事にしたいって思うんじゃね?
守りたい、とか。」






そう言って広瀬は
悲しげに笑った。