不器用な君と不機嫌な私





「えっとな、藤原、藤原…

あ!!」


「はい」


「藤原かおる!!」


自信満々の顔で言い切る先生がおかしくて、思わず笑ってしまった。


かおるじゃないのに、間違ってるのに


少しも嫌じゃないんだ


「え、なに、間違ってた…?」


「あははっ、かおり、ですよ!」


「まじかよっ!!ごめん!!ほんとごめんな!

って、かおり?
あー…もしかして

かおりん!?」


「え、なんでその呼び方…」


「今日郁がかおりんって言ってんの聞こえたんだよなー

なるほどなー、かおりんって藤原のことか!」


さりげなく先生は、郁と言っていたけど

そのことに自分でも気がついたようだった。


「あ、やべ。西村な、西村。」


「郁と、仲良いんですか?」


「仲良いもなにも、あいつとは
昔からの知り合いだからなー。

あ、京介もなんだよ」


そう言うと先生は優しく、微笑んだ。

その笑顔を見たら、胸が詰まるような感覚になる。


「まあ、仲良くしたってくれよ。

いやでも、かおりか。いい名前してんな」