「ねえ仲本」
「なに」
「私、もう先生のことはいい」
「はあ?」
「そんなおどろくことじゃないでしょ。
もう、叶わないのなんて目に見えてるんだし。
いいの、だから
あとはなにをすればいい?」
自分で言うと、ちくりと胸が痛んだ。
大丈夫、このくらい平気。
みんなに比べたら、こんなの。
「酒井がさ、このプリントを
クラスの人数分に分けて
ホッチキスで止めろだって」
「え、なに言ってんの?」
そして教室の前で仲本は立ち止まった。
「手伝って欲しいんだよね」
「え?だから、いいけど、質問の答えに…」
「話したいことあるんだろ」
「はあ?」
「あのさあ、俺はあんたの話くらいいくらでも聞くよ。
だからさあ、ひとりで解決すんのやめて欲しいんだけど」
仲本はそう言ってわたしの目をしっかりと見た。
そらしたいのに、そらせない。
「そんなの、仲本だって、一緒じゃんか…!
なんなの?自分ばっか傷つこうとしてさぁ、」
「ほーらね。言いたいことあんじゃん」
「ちょっと!!」
「まずさ、教室入って、座ろうよ」
本当に、どうしてこのひとは。
どうして、
こんなにも優しいの

