「藤原さん」
「あ、」
「俺行っておくから藤原さんはいいよ」
「でもそんなの悪いし…」
「いいって」
いつも通り、仲本はわたしの返事を最後まで聞かなかった。
そう、いつも通り。
仲本だけが、いつも通りなんだ。
いつも通りのことをして
元に戻そうとしてる。
でも、平然を装っているようにしか見えなくて。
そんな姿をみるとどうしようもなく胸が痛んだ。
決めたじゃんか、終わりにするって。
仲本ばっかり辛い思いをするのは間違ってる。
元には戻れない、そんなことを思ったけれど
それは違うのかもしれない
きっと大丈夫。
きっと戻れる、だから
あと少しだけ、私が傷つけばいい。

