「郁も危なかったんだ。 幸い、火傷は負わなかったんだけどな。 ただ、やっぱり、心のほうが、な。 っておい、藤原? おい、どうしたんだ、手、震えて」 「嘘…そんな…」 あの日、 夏祭りのあの日 郁は確かに言っていた。 ーーーもうすぐ、郁も行こうかなーって思ってるの。 「おい、泣くなって、藤原?」 先生の温かい手のひらが私の髪に触れる。 子供をあやすように、優しく。 「郁が……」 「ん?」 「郁も、そこに、…そこに行くって……」